【掲載日】2017年08月25日(金)
事例番号 9
物的環境に関連する事例集
【発生場所】
トイレ
トイレ
【関連したもの】
車椅子、ドア
車椅子、ドア
【精神・意識障害の有無】
無
無
【発生内容の分類】
転倒
転倒
【主な原因】
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
AM2時、トイレに行きたいと言われ、普段使用しているトイレが使用中であったため別のトイレに車いすで誘導した。他患者のケアのため、「終わったらコールを押してください」と言ってその場を離れた。しばらくして、トイレで大きな音がした。隣のトイレの前で左側臥位に倒れていた。
重度認知症、右大腿骨頸部骨折術後のリハビリ中であった。1週間前から固定型歩行器で近位見守りを行い、転倒リスクは「高」で離床センサーを使用。夜間は車椅子を使用していた。頻尿であった。 普段使用しているトイレは引き戸だが、当日のリハビリは開き戸を使用した。車椅子は入ったが少し狭い状態であった。排泄後立ち上がり、1人でズボンを履き、体の向きを変える時に扉に左手をついた(と思われる)。事故検証でドアストッパーのねじが破損し、通常120度開きだが160度まで開く状態になっていた。このため、大きくバランスを崩し転倒したと思われる。
重度認知症があり、ベッドセンサーをつけるほど転倒リスクの高い患者を独りにした事が最大の要因と言えるが、本事例の場合は扉の故障で介助者共に倒れた可能性も十分に考えられる。また、故障が無くとも使用状況の評価等を行い、スタッフ間で情報共有を行うことも重要であった。さらに昼間に関わることの多いリハビリとの連携も、「今ある設備・療養環境の安全確保」に重要であった。
事故後直ちに検証を行い、ドアストッパーの破損を発見した。事故の要因と考えられた。トイレは転倒事故の多い場所である。院内全てのトイレのラウンドを行い、危険個所のチェックを行った。メンバーは院長、看護部長、事務長、リハ科長、営繕担当、医療安全管理者である。ねじの緩い所は2か所あり、その場で修理を行った。その後トイレの安全確認は、病棟師長は毎日の環境ラウンド際に、医療安全管理者は適宜行っている。また、日常業務の中での気づきはインシデントレポートでの報告により改善を行っている。見守りの必要な患者の側から離れない、離れる場合は他のスタッフを呼ぶなどの基本的な対応については、研修会などで注意喚起を行っている。
扉が全開になって、身体を支えることができず転倒した
(検証イメージ)