【掲載日】(日)
事例番号 451
物的環境に関連する事例集
トイレ
車椅子
なし
衝突・接触、その他療養上の世話
B. 物の性能のリスク
車椅子フットレスト裏側の接触による下肢切創。
皮膚が脆弱な80歳代の患者。両足趾潰瘍の治療目的で入院していた。排泄の際、車椅子から便座への移乗は自力で可能であるため、看護師が傍について見守りを行っていた。車椅子のフットレストは移乗の前に跳ね上げていたが、裏側が患者の右下腿に接触し、縦10cm、横1cmの切創を生じた。痛みを感じにくい患者であったため「どうしたんでしょうね。痛くも何とも無いですよ。」という反応であった。バイポーラで止血後に10針縫合、ステリストリップを貼用した。
・平成29年3月消費者庁:消費者安全調査委員会のレポートより抜粋「車椅子のフットレスト裏側は、プレート部分の強度を確保するために補強リブが格子状になっているものが多い。跳ね上げた際に直接身体に触れる面になることを前提とし、裏側を平滑にするなど皮膚損傷が生じないような構造上の工夫を製造業者に求めている。現在では、安全面で改良された製品は市販されているが、病院や介護施設等において既に利用されているものついては、車いすの性能として必要な要件は備わっているため、資金等の問題により買い換えが進んでいない。」
・当院で使用している車椅子フットレストの裏側は格子状であり、平坦なものは予算の問題もあり、購入できていない。
・フットレストカバーの購入(感染管理上、撥水性があり拭き取りや消毒が可能。次亜塩素酸ナトリウムに耐久があるもの)
・高齢者など皮膚が脆弱な患者の場合、接触により少しの力が加わっただけでも皮膚損傷を生じる可能性があること、免疫力や循環障害、糖尿病などの合併症がある場合は症状が重篤化する可能性があることを、職員と患者に指導する。
・フットレストと足の位置、車椅子の設置位置を確認し、接触を避ける。
・レッグウォーマーなどによる下肢の保護。
接触により切傷を起こしたフットレスト裏面の画像