【掲載日】2019年07月31日(水)
[開催報告]第1回 検査・処置・手術安全セミナー(7/15)を開催しました
【開催日】 | 2019年07月15日(月) |
【部会名】 | 検査・処置・手術安全部会 |
活動成果
「 画像診断報告の確実な伝達 」
2019年7月15日東京都医師会館において、「第1回検査・処置・手術安全セミナー」を開催し関東地方の病院を中心に全国各地より175名の参加がありました。参加者職種は医師・看護師・診療放射線技師が大半ではありましたが、事務職の方々の参加もあり多職種参加による開催となりました。
今回は、昨年度に引き続き「画像診断報告の確実な伝達」をテーマとし、放射線科医による画像診断報告書についてのみスポットを当て「異常所見を共有するために必要なことは?」を副題として、基調講演・シンポジウム・パネルディスカッション形式で取り組み病院の発表者と参加者で活発な意見交換が行われました。
初めに、横浜市立大学付属病院の菊地龍明先生より自施設での「画像診断報告書確認漏れによる診断遅れ~画像診断報告共有エラー防止の取り組み~」と会員施設における「画像診断報告書の確認に関する取り組み状況調査」についての結果報告があり、続いてシンポジスト(下記)による各施設の取り組みについての報告がありました。
【セミナー内容】
①放射線診断報告の確実な伝達とアウトカム、日本医学放射線学会からの提案
金沢大学付属病院 病院長・放射線科教授 蒲田 敏文先生 (日本医学放射線学会 理事)
② 画像診断報告書の未確認/見落としを防止する情報システムでの対策
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会 井上 貴宏先生
③常勤放射線科医師のいる中規模市中病院において、画像診断レポートの確認不足を予防するために
放射線科医師ができること
医療法人健康会総合病院 京都南病院 放射線科医長 飯田 茂晴先生
④~画像診断報告書の見落としを防ぐために~ 診療放射線技師による画像診断報告書フィードバックの取り組み
岡山協立病院 放射線科主任 藤原 広志先生
⑤平成30年度 地域医療基盤開発推進研究事業
「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究からの報告書」について
独協医科大学埼玉医療センター 集中治療科院内教授 長谷川 隆一先生
(検査・処置・手術部会 部会長)
ディスカッションでは、会場より多くの質問がありました。放射線科医師による画像診断報告書(記載内容や報告義務)への責任の有無について、既読チェックシステムについては今以上の管理できるシステム開発への期待など参加された医師からの質問が多く挙がりました。どの先生方も共通して話されていたのは、「システムだけではエラーは防げない。人とシステムが共有することでより良い安全が生まれエラーを防ぐことが出来る」と話されていたのが印象的でありました。
参加者からは、「『依頼医の責務』を病院全体で共有する(意識改革)」、「放射線科医師の診断レポートが出るまでは患者に説明しない」体制作り」(医師)、「レポートを読んでくれるはずだと思い込まず、技師の立場から発信できることはどんどん医者に伝えていく」・「判断基準となるRCRを知られたのが大きい。医療安全室と連携して対策を進めたい」(診療放射線技師)、「既読・未読のチェックができる、できないこと自体が問題ではなく、重要事例を確実に伝えるにはどうするかを考えることが重要なのだという事、そのために対策を立てる事が現実的だと理解できた」(看護師)、「診療録記載の重要性を、その根拠をもってお示し頂けた。それができていなければ情報共有ができない、と明確にお示し頂けた。」など、多職種からの多くのご意見が寄せられました。
検査・処置・手術安全部会員 佐々木 庸浩
(医療法人社団愛友会 伊奈病院 放射線科)