【掲載日】2020年12月04日(金)
事例番号 722
物的環境に関連する事例集
【発生場所】
階段
階段
【関連したもの】
車椅子
車椅子
【精神・意識障害の有無】
不明
不明
【発生内容の分類】
転落
転落
【主な原因】
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
認知症の患者が車椅子で自走し、階段から転落する事象
半年前、左大腿骨頚部骨折に対して、全身麻酔下で左大腿骨骨頭置換術施行した76歳女性。術中・術後ともにバイタルサイン著変なく経過し、リハビリでサークル歩行練習中であった。既往に認知症あり連日落ち着きなく、日中は車椅子乗車し、スタッフの見えるところにいた。 朝食8:20頃に、5階と6階の階段の中段で、車椅子ごと横に倒れ、下敷きになっている所を下の階のスタッフが発見する。バイタルサイン測定施行し著変なし。全身観察し外傷ない事を確認する。 上記の旨を主治医に報告し、骨盤、両股関節レントゲン・頭部CT指示貰い実施。各検査、特に問題なかった。
朝食配膳時間で目が届いていなかった。患者はロビーで朝食摂取していた。既往に認知症があり、自己での危険予知ができない患者さんであった。自走可能であった。 当日の朝、ベッド柵を外しているところを発見した為、車椅子用の抑制ベルトを付けデイルームへ移動した。 日勤ナースがナースステーションにいたため、動いたら発見できると思っていた。
今後認知症患者の増加に伴い、階段からの転落防止が必要と考える。 当該非常階段の扉が常時開いた状態になっており、今後も転落事象が再発するリスクは高く、認知症や健忘症の患者が知らずに出て行ってしまうことが危惧される。転落事故の再発防止策につき関係部署と検討を重ねた結果、当該階段の扉を閉めることとなった。 認知症患者がどのように認知するかを、認知症専門医に確認したところ、認知症の患者は多種表示での認識は薄く、また黒字より赤字表記が認識を高くする傾向がある為、文字のみにすると良いと提案があった。現在、扉に手すりもある為一見は壁のように見えている。上には非常マークの標識あり、病棟側の扉に『立入禁止』のポスターを掲示した。
常階段の扉は常時開いた状態になっていた。
患者は車椅子ごと横に倒れ、中段で下敷きになっているところを発見。
階段内側に扉開閉時、注意を促すポスターを作成。
階段の扉を閉めることにした。認知症専門医より、認知症患者は黒字より赤字表記が認識を高くする傾向があると提案いただき、ポスターを作成。