【掲載日】2021年10月26日(火)
事例番号 762
物的環境に関連する事例集
【発生場所】
トイレ
トイレ
【関連したもの】
ドア
ドア
【精神・意識障害の有無】
無
無
【発生内容の分類】
転倒
転倒
【主な原因】
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
トイレ内でスライドドアにもたれかかって転倒したことによる閉じ込め発生
脳梗塞で左上下肢に麻痺のある43歳の患者。右から左にスライドさせて開けるドアの洋式トイレに看護師2人で便座へ移乗介助した。トイレ中は看護師1人がドアの外で待機し、排泄終了後に患者が健側で手すりを持っていること、便座に座った状態を確認したあとに、近くにいると思われたもう一人の看護師が不在であり、患者に「すぐに戻るので絶対に動かずにそのまま待っていてください」と声をかけてその場を離れた。看護師2人がトイレに到着時、トイレ内から「転んだ。痛い、助けて」と声が聞こえたが、扉の前(便座の左側)で転倒しており、スライドドアが開けられなくなっていた。患者が一人で立ち上がることは不可能で、ヘパリンを使用していることから頭部打撲への影響も懸念され、速やかな救助のため、隣のトイレから天井を超えて救助を試みたが隙間は20㎝程度でヒトは通ることができなかった。中央監視盤室に連絡し、隣のトイレの天井を破壊してもらい、看護師が天井を通って患者のいるトイレ内へ入って救助できた。
スライドドアに戸袋が設置されていないタイプであり、今回のようにもたれかかるかたちでヒトが転倒した際にドアの開閉が困難になることが予測できていなかった。他に、隣のトイレから天井側の隙間を通って救助することは以前にも何件か院内で発生していたが、今回の部署は天井側の隙間が極端に狭くて、隣室にヒトが入ることは不可能であった。
天井を破壊したあとに簡易修復した写真で、天井の隙間がせまいことが分かります。