公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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物的環境に関連する事例集

【掲載日】2022年10月25日(火)

事例番号 805

物的環境に関連する事例集

【発生場所】
階段
【関連したもの】
手すり、段差
【精神・意識障害の有無】
【発生内容の分類】
転倒、転落
【主な原因】
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
発生内容

病院玄関口付近にある1階と2階をつなぐ螺旋階段での転倒転落多発

詳細
患者は外来通院中、友人2人と共に来院していた。
15時52分 入退院受付事務から『螺旋階段で転倒されてケガをしている。入院受付付近で車椅子で待機しているがどうしたらよいか』と事務員から外来に報告があり看護師が状況を確認した。意識レベル問題なく頭は打っていない。右膝をケガして立って歩くのは辛いとのこと。入院センター担看護師がバイタル測定しBP132/81 P92、右膝擦過傷・出血あり。本人からは「足を踏み外してころんだ時に右膝を強くぶつけた。このままじゃ帰れない」と聴取した。外来処置室で医師が診察し、右下肢伸展不能、左外踝腫脹あり。擦過部は消毒、ガーゼ保護した。その後、主治医から整形外科医に診察依頼し、右膝蓋骨骨折・左果部骨折と診断。手術目的で即時入院になった。 患者は普段は院内のエレベーターやエスカレーターを使用していたが、時間短縮で玄関外にある螺旋階段を利用して帰宅しようとし不慣れから足を踏み外した。
考えられる要因

玄関横に設置されている螺旋階段はここ数年で、毎年1~2件以上の階段踏み外し、すべる、躓く、一段落ちることが発生していた。そのつど、階段に滑り止めマットを設置したり、注意書き看板を設置していたが、一定数の転倒転落が発生していた。あらためて安全対策室で現場を観察し、階段の昇降を実体感したところ、降りてきたときの最終着地点の1,2段が上から見るとだまし絵のように段差がないように見えることが分かった。すたすたと歩く職員でも一瞬、足がガクッとなることも体験した。そのため、利用者にとって視覚的に、感触的に分かりやすい表示と構造に変更する必要性を話し合った。

対策

施設課、用度課、総務課、安全対策室で検討し、螺旋階段の撤去や螺旋階段の代わりになるものを設置できないか等を検討した。病院の構造上外付けの螺旋階段の利用者も多く、撤去は不可能であり、地面の掘り起こしや周囲の手すりの再設置、視覚的に段差が分かりやすいように工事を行った。

螺旋階段を横から見ると段差が分かりやすいですが、着地点の部分は上から見ると段差がないように見えます。

資料

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