【掲載日】2020年05月08日(金)
2019年度 転倒・転落予防の標語 受賞作品発表
【発信日】 | 2020年05月08日(金) |
【部会名】 | 検査・処置・手術安全部会 |
活動成果
2019年度 転倒・転落予防の標語の選考結果 “表彰句から想う”
2018年度に続き、転倒・転落予防の標語を募集しましたところ、77病院から359句もの標語が集まり、会員病院の医療者の転倒・転落予防に対する意識の高さを感じました。会員の皆さま、たくさんのご応募ありがとうございました。
収集した標語は、検査・処置・手術安全部会の委員がまずは1次投票を行い、選出された標語に関してさらに2次投票を行い、優秀作品(金賞・銀賞・銅賞と入賞4句)が選出されました。本来であれば、2020年3月に東京ビッグサイトで開催される予定であった「患者安全推進全体フォーラム」の場で表彰を行うはずでしたが、今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止となり、「患者安全ジャーナル」と「PSPホームページ」での発表となりました。
金賞に選ばれました標語 “気をつけて!点滴棒は 杖じゃない” からは、点滴棒につかまって廊下を歩行している患者が目に浮かびます。前傾姿勢で足元がおぼつかずに、点滴棒を滑らせながら歩行している患者は、どの病院でも見かけるのではないでしょうか? 点滴棒を杖代わりにするのは、患者さん自身でしょうか? もしかしたら医療者が、そのような使用方法を患者に教えてはいませんか? 滑るものは転倒・転落の事故のもと、医療者も患者も気をつけよう! と感じることのできる標語であると思います。
銀賞と銅賞には、 医療者に対する転倒・転落予防の標語が選ばれました。
銀賞 “「まぁいいか」はぶく確認 事故のもと” は、ちょっとした油断「まぁいいか」と確認を省いたことが事故のもとになるのは、転倒・転落のみならず、医療安全全般に通じるものと思います。
銅賞 “気配りと あなたの心が 杖となる” は、確認行為とは、リスク状態の有無を確認することです。患者が行動するうえで、「転倒・転落のリスクはないか?」と注意して、少しでもリスクがあれば、先回りの対応で、転倒を予防したいものです。そのためには、気配りが大切です。患者の身になって、気配りと相手を思いやる心で患者の行動支援を考えること、それこそが転倒予防の杖になる、と感じられる標語が選ばれています。
超高齢化社会のなか、医療現場も患者の高齢化が進み、フレイル状態で日常生活をしていた方が入院すると、ますますフレイルが進む傾向にあります。病状の回復過程においても、患者が自分の転倒リスクを認識して行動することは難しく、自分では「できる」と思って、転倒します。患者自身が安定した行動ができる環境づくり(物的対策)、および患者が安心して行動できるための行動支援(ケアの工夫)が、転倒・転落予防には大切であることを、受賞された標語から再認識しました。2020年度も公募を予定しております。
公募いただいた標語を皆様の施設で活用することで、転倒・転落予防の一助となりましたら幸いです。
黒川 美知代
認定病院患者安全推進協議会 検査・処置・手術安全部会員
武蔵野赤十字病院 看護部 看護師長