公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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【掲載日】2016年08月01日(月)

[別冊]転倒・転落のリスクマネジメント ~4つの視点と実践事例~を発行しました

【発行日】 2016年07月発行

[別冊]転倒・転落のリスクマネジメント ~4つの視点と実践事例~

発刊にあたって

 

 急性期病院の医療安全管理室のスタッフは、新しい病院長が赴任してしばらくすると、こんな問いかけを受けた経験があるのではないか。「うちの転倒・転落の防止対策はどうなっている?」と。医療安全に関心の高い病院長ほど、毎日のように転倒・転落のインシデント報告があることに対して、「何とかならないのか?」という思いを強く感じるのであろう。そして、それを聞いた安全管理のスタッフ、そして現場の職員も、「できることはすでにやっています!」という思いと徒労感が込み上げてきて、ともすれば現場と病院上層部との認識のズレやすれ違いとなって、時には職員間のコンフリクトの火種になったりもする。ひとつここは、病院長と「問題を共有するチャンス」と捉えたほうが、前向きになれるのかもしれない。

 

 ところで、「転倒・転落の防止対策を取り上げてほしい」という本誌読者の皆さんからの声は、最近では急性期対応型の病院の医療安全スタッフから強く寄せられるようになってきた。それも、大都市やその周辺の高機能病院から、切羽詰まった問題として提起されることが多くなったように思う。背景には、それらの地域の人口高齢化が勢いを増してきて、団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをする、いわゆる「2025年問題」が、いよいよ現実のものとして急性期病院にも押し寄せてきているのが一因であろう。それに、従来は侵襲が大きすぎて高齢者には実施できなかった治療等が、医療技術の進歩によって比較的低侵襲で安全に提供できるようになったことも大きいように思う。また、急性期病院では病状の変化が短時間で起こるし、緊急入院などではアセスメントのための情報が乏しいことなどもありそうだ。

 

 さて、改めて「患者安全推進ジャーナル」のバックナンバーを見てみると、活動報告のような個別的な取り組みとして紹介された事例はあるものの、「転倒・転落」を特集記事として取り上げたり、ましてや別冊の類を発行したりすることはなかった。それは、転倒・転落の防止に向けた取り組みが、現在でもそうなのだが、決定打(魔法の杖)が見つからずまだまだ試行錯誤の段階であり、加えて高齢者が多く入院する療養型や慢性期病院の問題、と受け止められがちであったことと関係しているのかもしれない。しかし、今は違う。転倒・転落は、急性期病院だからこそ一層深刻であり、また今日的な問題として受け止められつつある。そして、「ゼロ」にはできないまでも、「減らす」ための工夫があることもわかってきたし、発生後の対応方法も、フローチャートなどで標準化できる方向性が見えてきた。さらに、患者の「性格」や「生活」を踏まえながら、転倒・転落の防止対策に患者・家族の参加を促すことが、予防だけではな
く事後の紛争化防止にも役立つことが知られてきた。

 

 今回、本誌の作成にあたっては、総論として「転倒・転落事故防止ヘのアプローチ」を、医学、リハビリ、看護の側面から、各職種の専門家の方々に執筆をお願いした。そして、「患者アセスメント」「転倒・転落防止用具と環境設定」「職員教育と患者参加」「多職種チームによる活動」、この4 つに視点を当てながら、それぞれ識者の概説と実践事例を紹介する構成とした。事例のなかには、試行錯誤の途上にあるものも掲載されており、そのままどの病院にも適応できるものばかりではないが、医療安全の担当者だけではなく、現場スタッフの参考になる内容も多いのではないかと思う。ぜひ各病棟にも配ってみて、ケアの現場で活用していただければ幸いである。

 


認定病院患者安全推進協議会 患者安全推進ジャーナル企画部会
東京女子医科大学・教授
寺崎 仁

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内容紹介

・目次

・記事紹介

 総論:転倒・転落事故防止へのアプローチ 
 ③看護の側面から
 医療と生活の両面から療養環境を整える/黒川 美知代

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