【掲載日】2023年06月06日(火)
事例番号 855
物的環境に関連する事例集
【発生場所】
トイレ
トイレ
【関連したもの】
車椅子、通路
車椅子、通路
【精神・意識障害の有無】
無
無
【発生内容の分類】
転落
転落
【主な原因】
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク D. スタッフによる物の不適切な使用・利用・選択・設置・確認不足によるリスク E. スタッフが作業する上での環境上のリスク
C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク D. スタッフによる物の不適切な使用・利用・選択・設置・確認不足によるリスク E. スタッフが作業する上での環境上のリスク
車椅子からの転落による鼻骨骨折
入院翌日に化学療法を実施した。リンパ腫による疼痛はNSAIDSの鎮痛薬でコントロールを図っていた。 転倒転落リスク評価は31点で危険度3と評価し、トイレ移動は車椅子介助となっていた。入院16日目の0時30分、車椅子トイレが使用中であったため、一般用トイレ【洋式3個並びの一番奥(3)】の個室へ患者Aを車椅子で搬送した。患者がトイレで排泄後、看護師は患者を便座向きに一旦立たせ、右側にある手すりを掴むよう指示した。患者の背後から車椅子を差し込み、患者を車椅子に座らせた。フットペダルを上げず、車椅子を後ろ向きに引きながら、車椅子を45度方向転換させてトイレの個室内からトイレの通路に出た。通路に出る際、車椅子の向きはトイレ通路の奥側を向く方向に、後輪を浮かせ、前輪だけで行った。車椅子は後方に引きながら方向転換をしたことによる遠心力と傾斜により、患者は前方に傾き顔面より転落した。鼻出血を認め、CT検査にて鼻骨骨折と診断された。
・車椅子用トイレ(50床の病棟内に1か所)が使用中で一般用トイレを使用したため、狭い環境での介助であった。
・トイレ入口の幅よりも車椅子の幅があるため、トイレ内には車椅子のフットペダル部分までしか入らなかった。
・トイレ通路の幅は、介助者がいると方向転換できるだけのスペースがない。
・患者Bがトイレ(1)を使用しており、車椅子で出入り口の動線を塞いでいた。また、患者Cがトイレに入る廊下でトイレ待ちをしていた。このため、ペダルを上げずに急いでトイレの通路に出てしまった。
・車椅子トイレからナースコールが鳴っており、精神的に焦っていた為、方向転換する際にスピードが出ていた可能性がある。
・病棟に車椅子用トイレが1か所しかなく、使用したい患者がタイムリーに使用できない環境であった。
・患者に尿意切迫があったため、一般トイレを使用した。
・車椅子用トイレの使用頻度が高いため、増築を検討する。
・車椅子乗車時の安全が確保できていない際は、転倒転落につながる可能性を常に想定し行動する(患者に説明し、手すりを握らせる、患者の前に立ち車椅子を押す等)。
・多重業務になった際は、安全を優先させ、落ち着いて行動する。