【掲載日】2017年08月25日(金)
事例番号 290
物的環境に関連する事例集
洗面所・浴室
機器
有
転落、その他療養上の世話
B. 物の性能のリスク C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク D. スタッフによる物の不適切な使用・利用・選択・設置・確認不足によるリスク
転落
片麻痺のある患者が入浴のため、看護師二人で特殊浴室へ患者を搬送し、入浴用のリフトに患者を移動。ひとりの看護師がエプロンを装着しようとしていた時に、リフト横についているサイドレールが自然に下がった(通常はロックされていて下がることはない)。患者の体が傾き、もうひとりの看護師が患者を支えたが支えきれず、患者が転落した。顔を打撲し頬骨骨折の診断。経過観察となった。
・リフト乗車時に装着するベルトが浴室内に干してあった
(取り外されていた)
・リフトのベルト装着位置の表示はなく、装着の必要性・方法がその場ではわからない(表示、装着位置・方法が分かりにくい構造)
・リフト横のサイドレールのロックがベルトにより浮き上がり、ロックが正しくされていなかった(ロックの構造上の問題)
・看護師が介助する時に必要な物品の室内配置がばらばらだった。
・床の構造はコンクリートであり、転倒時の衝撃が強い
・特殊浴槽・リフトの定期点検がされていなかった(医療器具ではないため、定期点検の義務はなく、定期点検の契約はされておらず、故障時の対応のみだった)
・メーカーに事故を伝え、リフトのベルト装着位置・方法がその場でわかるように表示。
・ロック部分が浮き上がらないようにベルト位置を調整した。
・室内の物品配置を手順に沿って私用できるように配置を工夫した。
・特殊浴の看護手順書を改訂し、入浴介助者は手順を理解してから行うことにした。
・使用者による使用前点検、定時点検をチェックリストを用いて実施することにした。
・メーカーによる定期点検の契約。
・浴室および特殊浴槽自体の問題点は、今後の買い換え時の検討課題とした。
(改善前)
物品が室内にバラバラに置かれていた。
(改善後)
患者が特浴用リフトに乗った状態で看護師がエプロンを着用使用とした時に手前の手すりが下がったことから、室内の物品配置を手順に沿って使用できるように左から配置した。
チェックリストで器具の使用前点検後、エプロンを装着してからリフト操作すること。患者の身体を固定するベルトの置き場も定めた。