公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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物的環境に関連する事例集

【掲載日】2025年07月30日(水)

事例番号 920

物的環境に関連する事例集

【発生場所】
洗面所・浴室
【関連したもの】
給湯設備
【精神・意識障害の有無】
【発生内容の分類】
火傷
【主な原因】
C.不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
発生内容

ポンプが老朽化により破損し熱傷

詳細

X月1日 病棟シャワー室を使用。午前中からシャワーから熱湯が出ていた 。
11:00 師長に報告あり。施設スタッフに点検を依頼、問題ないとの返答。
13:20~ 当該患者の入浴開始。湯の温度に気を付けながら、介助しているスタッフは自らの肌に湯をかけながら、シャワーを患者に使用
13:30頃 患者の右足背に湯をかけ始めたところ、突然シャワーから熱湯が出た。すぐにシャワーの湯がかからないように患者から遠  ざけた。患者の右足背に発赤、表皮剥離を認める。
X月2日 皮膚科受診し、真皮浅層の熱傷との診断を受ける。   

考えられる要因

5年前から同様の現象があったが、明らかな異常は認めず、一時的に熱めの湯が出ることは大型施設でよく起こる現象(許容される範囲)として施設課は重要な問題と認識せず、様子を見るように指示していた。
築22年と老朽化が進んでおり、給湯システムに関しては不具合が生じた際には業者へ修理を依頼していた。最終部品交換は9年前であった。部品交換の時期が近い時期であった可能性がある。さらに、事後検証では老朽化によりポンプ全体の機能低下が認められた。
日々の点検では水圧検査に問題なく、正常範囲内であった。事例発生の2カ月前・1カ月前の点検記録を確認したが、圧は25~30前半(正常値は20~30)であり事象の予想はできなかった。業者に原因を調査してもらったところ、加圧タンクが破れ、タンク内は水で充満し圧の調整が不可能になっていたことが判明した。外観に異常は見当たらず、日常点検、施設課の確認では異常の前兆を見つけることはできなかった。

対策

・施設課は院内で生じている設備的な問題を全て把握、集約するために、業務を受ける窓口を一元化し書類に残し、経過、進捗状況の把握に努める。
・施設課は院内で生じている設備的な問題を全て把握し、緊急度、重要度を複数のスタッフで検討し判断する。
・施設課職員は老朽化が進んでいることを念頭に、より患者に安全を提供できるよう日々の業務での気付きを大切にし、課内で情報を共有する。
・施設課は業者からの指導を受け、1回/月、圧力タンクの測定を実施する。また基準値をタンクに印字し異常の早期発見に努める。

資料

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