公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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活動成果

物的環境に関連する事例集

【掲載日】2020年12月04日(金)

事例番号 747

物的環境に関連する事例集

【発生場所】
病室
【関連したもの】
ベッド、機器
【精神・意識障害の有無】
【発生内容の分類】
転倒
【主な原因】
B. 物の性能のリスク C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク D. スタッフによる物の不適切な使用・利用・選択・設置・確認不足によるリスク E. スタッフが作業する上での環境上のリスク
発生内容

ナースコールの管理不備、機能に関する知識不足による、ナースコールが鳴り止まない環境に対して、対応が適切に行えなかったことによる転倒

詳細
14:40患者がベッドで寝ているのを担当看護師が確認していた。14:53患者がベッドに端座位になり、サイドコールが反応しナースコールが鳴っていた。患者は一人でベッドを伝い歩行し洗面所の前でバランスを崩して転倒。14:56患者の病室前の廊下を歩いていた看護師がベッドの隣にある洗面所の前で患者が転倒しているのを発見した。発見時にはナースコールが鳴っていなかったため、着信履歴を確認したところ、3回の履歴があった。しかし誰も患者の対応をしたものはおらず、ナースコールの音だけ消されていたことが発覚。この時の状況として、病棟に設置しているナースコールの子機の8台中4台が修理中で、残った4台のうち2台しか稼働していなかった。また常に複数のナースコールが鳴り続けるため、休日勤務のスタッフ9人と応援2人の11人でもナースコールに対応しきれていなかった。さらに通常のナースコールと離床センサーのコール音は一緒であり、どこで誰のナースコールが鳴っているのか探さなければならなかった。
考えられる要因

・ナースコールが鳴っていてもコールを消すのみで対応していない。
・音の区別ができていないため、ナースコールが多いと誰にナースコールが鳴っているのか把握できずに対応している。
・ナースコールの子機の修理に4台提出し、さらに稼働していたのが2台のみであった。ナースコールの設定で、子機が日勤モードと夜勤モードに分かれていて、親機の設定が日勤モードであり、夜勤モードに設定されていた子機は音が鳴らない状況になっていた。いつの間にか切り替わっていた。頻回にナースコールを鳴るが、使用できるナースコールは親機1台と子機は2台のため、速やかなナースコール対応ができていない。転倒リスクのある患者であり、ベッドサイドにサイドコールを設置し、早期に患者の離床行動を把握するようになっていたが、患者がベッドから離れると一度消したナースコールは鳴らないため患者の離床に対応できなかった。患者は認知症があり離床時は介助を要するが、ナースコールは押せず、支えがあれば、伝え歩きはできるためベッド周囲は歩行が可能であった。

対策

センサーによるナースコールの音を通常の音と区別した。(全病棟統一した) ナースコールの日勤夜勤の切り替え機能は使用せず日勤モードのみにする。ナースコールの子機の修理に速やかに出す。(代替器の準備をする)ナースコールの子機の活用方法。(充電のタイミングを検討する)離床センサーの無駄鳴り防止の工夫をする。(介助中に介助者がコールマットを踏んで鳴らすなど)患者の動きに応じた離床センサーを使用する。ナースコールよりも先取りした援助を行うよう計画する。

患者のベッドと洗面所の配置 ベッドの左側から昇降していた

患者のベッドの隣にあった洗面所 この前で転倒していた

病院で使用している離床センサー3種
今回ベッドサイドのマットのみ使用していた

資料

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