【掲載日】2022年10月25日(火)
事例番号 809
物的環境に関連する事例集
病室
杖、ベッド
無
転倒、転落
D. スタッフによる物の不適切な使用・利用・選択・設置・確認不足によるリスク
ベッドサイドにおいて患者私物の杖を置く場所が適切な配置でなかったために、看護師が倒れた杖を取りに行く際に患者から目を離し、患者が転倒した事象
杖を使用すると判断した際に杖が環境整備上、慣習的に患者から離れた位置に置かれていた。患者は4人床の右奥ベッドで、窓側に床頭台とオーバーテーブルがあり、右脚側の柵がない3点柵としていた。オーバーテーブルはベッドを跨がず柵のないベッドの足側に沿わせて配置されていた。身長151cmのためベッド高は最下限に下げてあった。端座位ならば足底は床につく状態であった。靴は容易に踵の入る本人私物であった。杖はリハビリでまだ使用開始していなかったため、手もとからは遠い床頭台の窓側タオル掛けに掛けてあった。食事は端座位でオーバーテーブルを使用していた。
看護師の対応として、患者から目を離さない、手を触れておくことにより患者の転倒転落を予防することを挙げた。 また、看護師が患者を離床させる際の動線確保や空間確保を適切に行えていなかったことへの対策を下記の通り立案、実践を開始した。
患者は普段から、食事などの際に端座位でオーバーテーブルを使用する機会があった。そのためオーバーテーブルは足側でなくベッドの柵側に配置されていた。術後はリハビリで杖を使用しておらず、介助下での離床時にも杖歩行を実施していなかった。そのため転倒した際まで杖を使用する機会がなく、杖が床頭台のタオル掛けの窓側(患者からみて遠い側)に置かれていた。また空間確保のため椅子とオーバーテーブルを動かす際に杖が倒れてしまい、そのことが患者から目を離すことに繋がったと考えられる。対策として、離床介助の前に動線や空間を確保してから臨むよう指導・部署内共有を行うこととした。