【掲載日】2006年11月30日(木)
病院における医療安全管理の位置付けとその組織体制のあり方に関する指針
【発信日】 | 2006年11月30日(木) |
【部会名】 | リスクマネジメント部会 |
指針
※お断り 本資料は指針(PDF)の抜粋です。本ホームページへの掲載に際し、図の省略等、一部改変をしておりますので、予めご了承ください。
認定病院患者安全推進協議会 リスクマネジメント部会(以下、当部会)では、標題の指針を作成したので、以下に発表する。
近年、医療安全管理については、専任担当者の配置が進むなど、その強化が図られているところである。今後、さらに医療安全管理を進めて行くためには、組織における医療安全管理の基本的な位置付けやその組織体制のあり方について、より明確にする必要があると考え、指針を作成するに至った。
各会員病院の病院長および医療安全に関わる職員におかれては、総合的な医療安全管理を行うために、組織の規模や特徴を踏まえつつ当指針を活用されたい。
なお、指針最終頁に当指針の用語定義を設けているので、本文とあわせて参照していただきたい。
1.医療安全管理における課題
(1)病院における医療安全管理の基本的な位置付けを明確にする
(2)医療安全管理のための体制や役割を明確にする。また、責任の所在や担当者への権限委譲の範囲を明らかにする。
(3)医療安全に関する「体制や役割」、「責任の所在や担当者への権限委譲の範囲」を病院内指針に明記するとともに、各職員に周知徹底する。
2.医療安全管理の具体的方策および方向性
2-1.医療安全管理の基本的な考え方
(1)医療安全管理においては、医療安全管理統括責任者による、組織体制の整備に対する積極的な関与が必要不可欠である。医療安全管理統括責任者は、組織全体の医療安全を把握し、指導力を発揮して関連部門や担当者を統率しつつ、医療安全管理を推進しなければならない。
(2)医療安全管理統括責任者は、「患者の安全確保」や「医療事故・紛争の対処」など、医療安全に関する業務を総合的に管理する。医療安全管理を機動的に進めるためには、病院長または病院長から予算配分に関する権限や当該領域に関する権限を委譲された副院長相当の役職者が、医療安全管理統括責任者として適任である。
2-2.医療安全管理統括責任者の役割
(1)医療安全に関わる担当者※を指揮し、組織の医療安全を統括する。
※当指針での担当者とは、患者安全管理者、患者安全推進者、医療事故紛争・苦情対応責任者、紛争対応窓口担当者、苦情対応窓口担当者を指す。
(2)患者安全管理者を指揮し、患者安全活動を推進する。
(3)医療事故紛争・苦情対応責任者を指揮し、医療事故発生後の苦情や訴訟への対応を管理する。必要に応じて自らが患者・家族への対応にあたる。
(4)医療事故の当事者である職員に対する支援体制を構築する。特に、精神的な支援が実施できる体制を整備する。
(5)医療安全に関わる担当者が必要な業務を適切に行えるように管理する。組織的かつ効率的に医療安全管理を進めるために、各担当者の業務量を把握し、過剰業務とならぬよう配慮する。各担当者の配置や業務範囲を定期的に見直す。
(6)病院内感染対策部門等、医療安全管理に関わる部門の業務内容を把握する。各部門と連携がはかれるような協力体制を構築する。
2-3.医療安全管理部門の位置付け
(1)患者安全管理者や医療事故紛争・苦情対応責任者の組織内での位置付けは、機動力のある活動にするために、病院長または医療安全管理統括責任者の直属とする。患者安全推進者および紛争対応窓口担当者、苦情対応窓口担当者の業務は、それぞれ患者安全管理者、医療事故紛争・苦情対応責任者が管理する。
(2)組織横断的な活動に障害が生じないように、病院長は業務内容に応じた権限委譲を明確に行う必要がある。
(3)急性期病院においては、専任の患者安全管理者を配置するべきである。
兼任の担当者とする場合は、当該業務を行うために必要な時間を配慮し、担当者の部署や医療安全に関わる部門の協力体制を構築することが必須である。