【掲載日】2005年12月20日(火)
誤認手術の防止について
【発信日】 | 2005年12月20日(火) |
【部会名】 | 処置・チューブトラブル部会 |
提言
本邦の医療事故対策は1999 年に起きた患者取り違え事故から始まったが、認定病院患者安全推進協議会の処置・チューブトラブル部会には、依然として手術部位の間違い、手術器材の間違いなどのインシデント・アクシデント報告が寄せられている。米国でもJCAHO (Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations )への誤認手術の報告が増えており、JCAHOは誤認手術防止を組織目標の一つに位置づけている。
当部会では、内外の対策を鑑み、誤認手術防止のために以下の提言を行う。ここでの誤認手術とは、患者間違い、手術部位(特に左右)間違い、手術手技間違い、手術器材間違いなどを示す。
1.病棟での手術出し前の確認
(1)担当医と病棟看護師は、病棟から患者を手術室に送り出す前に、チェクリストに従って、カルテ、承諾書、リストバンド(後述)、マーキング(後述)などを用いて、患者名と本人とを照合し、左右を含めた手術部位と術式を確認する必要がある。
(2)原則として、チェックリストに署名した看護師が患者を手術室に搬送する。
2.リストバンド
(1)患者本人を確認する手段としてリストバンド(あるいはカードなど)を活用することが望ましい。
3.マーキング
(1)基本的に全ての手術患者に関し術前にマーキングを行う必要がある。
(2)マーキングは患者が覚醒しているときに行い、患者に確認してもらうことが望ましい。
4.タイムアウトの実施
(1)執刀医の責任のもとで、麻酔前または執刀前に、執刀医・麻酔医・外回り看護師が、カルテ・リストバンド・マーキングなどを用いて、「患者氏名・手術部位・術式」を確認する必要がある。術式に応じてX線・CT・MRIなどの画像所見も確認する。
(2)インプラント・ペースメーカー・手術器材などは、適したものが揃っていることを執刀医と器械出し看護師がタイムアウト時に確認する必要がある。
5.コミュニケーション
(1)上記手順を実行するために、手術メンバーは安全活動に積極的に関与し、かつ職員間のコミュニケーションを高める努力が必要である。