【掲載日】2022年01月13日(木)
[開催報告]2021年度 第2回 検査・処置・手術安全セミナー(11/3)を開催しました
【開催日】 | 2021年11月03日(水) |
【部会名】 | 検査・処置・手術安全部会 |
活動成果
検査・処置・手術安全部会は、昨年に引き続き「Hand-off 手術部門からの引き継ぎ・情報伝達を考える」をテーマに2021年11月3日にZoomセミナーを開催しました。全国の会員病院から北海道から長崎までの24病院50名(看護師45名・薬剤師2名・医師3名)の方々が参加されました。
本セミナーの目的は、「引継ぎの目的や目指す姿について、ともに考え方向性を見出せる」、「参加者の医療施設での術後の引継ぎの日常管理が安全・質の観点で向上する」、「リモート研修で主体的に参加できるように、必要な操作を身につける」の3つでした。
当日は、安田あゆ子先生の司会により、まずKJ法を使い参加者の日常業務での役割に応じたグループに分かれ「何を重視して術後の引継ぎをしているか」「術後の引継ぎで不足していること・必要なこと」を話し合いました。KJ法は「Jamboard」というオンラインツールを利用しました。
私は7Gを担当しました。医師と看護師のメンバーが参加されており、短時間のうちに、引き継ぎ内容の統一、申し送りメンバーの選定、多職種での申し送り、申し送られる側と申し送る側の情報共有などを書き出しました。
さらに、書き出された内容についてグループでブラッシュアップがなされ
・患者の声になれるような情報が必要
・外科医師・麻酔科医師を含めた申し送りのメンバーに入る
・誰が申し送るか決める
・どのような申し送りが必要か決める
・麻酔科医師も申し送りのメンバーに入る
・帰室した時にどのような対応をしたらよいか
・申し送りメンバーに患者も加える
など、意見が絞り込まれていきました。
次に、菊地龍明先生から米国の「Joint commission8Tips for High-quality Hando-offs」質の高い引継ぎのための8つヒントに関する講義があり
1.「対面で」「文章で」伝達する必要がある重要な情報を定める
2.受け手に情報を伝えるためのツールと方法を標準化する
3.引き継ぎを電子媒体または書面でのやり取りだけに頼らない
4.複数の情報源からの情報がある場合は、一度にまとめて伝える
5.患者を受け入れる側が次の最低限度の情報を得たことを確認する
6.引き継ぎは、緊急時を除き邪魔が入らない指定場所にて対面で行う
7.引き継ぎを行うときは、すべてのチームメンバーと、必要に応じて患者や家族を含める
8.電子記録やその他のテクノロジーを使用して引き継ぎを強化する
といったことを学びました。
続いて、安田あゆ子先生からこれら8つのヒントをもとに引き継ぎ時におけるエラー対策を具体的な質の高い引き継ぎ方法について講義があり、2つ目のグループワークを行いました。このグループワークでは、質の高い引継ぎを行うための5原則(術後の申し送りで標準化することは何か)を各グループで話し合いました。
最後は再び菊地先生より「手術室からの引き継ぎに関する知見の紹介」を講義いただきセミナーは終わりました。
完全オンラインのセミナーということもあり、ファシリテーターとしてまだまだ未熟なため、本来のKJ法の原則にあるような、自由に意見を出す・たくさんの意見を出す・意見の批判をしない・意見の結合といった点について、どこまでメンバーから引き出すことができたかは反省点です。Zoomを使ったセミナーへの参加が初めての方もおられましたが、受講者同士のサポートなどもあり、幸い大きなトラブルはなく進みました。
新しい試みもありましたが、2つのグループワークや講義を通じて、今回のテーマである「Hand-off 手術部門からの引き継ぎ・情報伝達を考える」について、参加者の皆さんにとって手術部門からの引継ぎにおいて何が問題なのかについて明確になったように思います。
今後、このセミナーの経験が時間をおいてそれぞれの職場でどのようなことに活かされたか、どのようなマニュアルができたか等の改善成果を報告していただけるのを楽しみにしています。
検査・処置・手術安全部会 部会員 萱島道徳
(公益社団法人 日本臨床工学技士会)
※本セミナーは見逃し配信は行っておりません。
◆ 検査・処置・手術安全部会 部会員一覧
◆ プログラム(敬称略)
13:00~13:10 事務局オリエンテーション、開会挨拶(部会長 長谷川隆一先生)
13:10~14:40 グループワーク①(司会:部会員 安田あゆ子先生)
14:40~14:50 休憩
14:50~15:10 プレナリー(講師:副部会長 菊地龍明先生、安田あゆ子先生)
15:10~16:25 グループワーク②
16:25~16:40 まとめの講義(講師:菊地龍明先生)
16:40~ 閉会挨拶、事務局連絡
※グループワークのファシリテーターは検査・処置・手術安全部会 部会員が担当しました。