【掲載日】2022年11月30日(水)
[開催報告]2022年度 第1回 薬剤安全セミナー(10/15)を開催しました
【開催日】 | 2022年10月15日(土) |
【部会名】 | 薬剤安全部会 |
活動成果
薬剤安全部会は、今年度の検討テーマを「安全で効果的な投薬プロセス」として活動を行っています。投薬は、医師の処方、薬剤師による処方監査や調剤、また看護師による指示受けや与薬など、多職種による複雑なプロセスから構成されているので、診療上のエラーが発生しやすく、場合によっては患者影響度の大きいインシデントにつながる可能性があります。それ故に、医療安全にかかわるスタッフは、如何に安全で、かつ効果的なプロセスを築くか、日々、苦労を重ねているものと思います。そこで、PSP会員施設における投薬プロセスについての現状を把握すること、そして優れた取り組みを会員の間で共有し、自施設の安全向上に役立てていただくことを目的とし、アンケート調査とセミナーを企画いたしました。
「2022年度第1回薬剤安全セミナー」は2022年10月15日の13:00~15:00に開催いたしました。COVID-19への対応として、2020年度からはオンライン方式で行っていますが、今回も同方式で開催し、遠方の施設を含め全国各地より359名と、非常に大勢の方にご参加いただきました。また、参加者の職種も薬剤師に限らず、看護師、医師、診療放射線技師、臨床検査技師、リハビリテーション専門職など多職種から構成されていたことも特筆に値することと思われます。
セミナーを企画するにあたり、6月から7月の期間に会員病院の皆様に「投薬エラーの防止に関するアンケート」のご協力をお願いしました。アンケートでは、249もの施設から回答をいただきましたこと、この場を借りて感謝を申し上げます。これらはセミナーで報告すべく集計するとともに、セミナーで取り組みの詳細をご紹介いただきたい施設の選出を行いました。
セミナーでは、まず「安全で効果的な投薬プロセスに関する最近の話題」というテーマで、医薬品安全使用調査研究機構 設立準備室 室長 土屋文人先生に教育講演をお願いしました。講演では、医療事故調査・支援センターにより発行された「医療事故の再発防止に向けた提言 第15号 ~薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析~」を受けて、各施設がなすべきことを教示いただきました。また、まさに喫緊の課題となっている薬剤関連情報のIT化への対応についても示唆に富んだ貴重な講演をいただきました。
続いて部会員より前述のアンケート結果をお示ししました。アンケートは66の質問から構成され、フォーミュラリ、処方の代行入力、監査、指示受け、配薬まで、多岐にわたるもので、会員施設の現状を互いに知ることができる有益な内容であったと考えます。
後半は、横浜市立大学附属病院 薬剤部の小池博文先生から「薬薬連携の実際とフォーミュラリの取組紹介」、東京慈恵会医科大学附属病院 薬剤部の宮沢祐太先生から「プロトコールに基づく院外処方箋の代行回答と代行入力に関する薬剤部の取り組み」、静岡市立清水病院 薬剤部の紅林沙織先生から「薬剤監査システムを用いた調剤過誤防止への取り組み」、千葉メディカルセンター 薬剤部の岡本卓也先生から「処方カレンダーシステム導入による内服薬・外用薬のインシデント対策」という内容で各施設の取り組みをご紹介いただきました。いずれも、参加者が自施設の体制作りに参考となる内容であったと思います。最後の質疑応答の時間では、各演者によるディスカッションが活発に行われました。また、参加者からも多くの質問が寄せられ、本セミナーで取り上げた内容に対する関心の高さがうかがえました。
今回のセミナーを通じ、我々がこれから取り組まなければならない課題が明瞭となり、またそれを具現化するための手がかりを各自が見出すことができたと考えています。本セミナーの内容は、見逃し配信でも視聴することができます。ご参加いただけなかった施設におかれては、そちらをご利用されお役立ていただくことができれば幸いと思います。薬剤安全部会では今後も会員の皆様に有意義なセミナーや情報提供を企画してまいりますので、引き続き皆様のご参加とご支援をお願い申し上げます。
薬剤安全部会 部会長 川井 信孝
(埼玉医科大学国際医療センター 医療安全対策室 室長)
プログラム(敬称略)
■開会挨拶
川井 信孝(部会長/埼玉医科大学国際医療センター 医療安全対策室 室長)
■教育講演
座長:佐藤 康弘(部会員/国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院
循環器内科 副院長/薬剤安全部会 部会員)
「安全で効果的な投薬プロセスに関する最近の話題」
土屋 文人(一般社団法人 医薬品安全使用調査研究機構 設立準備室 室長)
■解説
座長:佐藤 康弘
「投薬エラーの防止に関するアンケート」集計結果
赤木 晋介(副部会長/公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
薬剤部 病棟薬剤部長 HQM推進センター 患者安全リスク対策グループ
主任室員)
■会員病院の取り組み事例発表
座長:佐藤 康弘
・「薬薬連携の実際とフォーミュラリの取組紹介」
公立大学法人横浜市立大学附属病院 薬剤部 副薬剤部長 小池 博文
・「プロトコールに基づく院外処方箋の代行回答と代行入力に関する薬剤部の取り組み」
東京慈恵会医科大学附属病院 薬剤部 宮沢 祐太
・「薬剤監査システムを用いた調剤過誤防止への取り組み」
静岡市立清水病院 薬剤部 紅林 沙織
・「処方カレンダーシステム導入による内服薬・外用薬のインシデント対策」
医療法人社団誠馨会 千葉メディカルセンター 薬剤部 科長代理 岡本 卓也
■質疑応答
座長:佐藤 康弘
佐藤 みづほ(独立行政法人国立病院機構 甲府病院 看護部 副看護部長
/薬剤安全部会 部会員)
■総括・閉会挨拶
川井 信孝
見逃し配信
2022年11月16日(水)~2023年4月30日(日)まで、会員病院限定で見逃し配信をしています。