公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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活動成果

物的環境に関連する事例集

【掲載日】2020年12月04日(金)

事例番号 711

物的環境に関連する事例集

【発生場所】
エレベーター
【関連したもの】
点滴スタンド、エレベーター
【精神・意識障害の有無】
【発生内容の分類】
転倒、衝突・接触
【主な原因】
D. スタッフによる物の不適切な使用・利用・選択・設置・確認不足によるリスク
発生内容

エレベーター内での転倒事例

詳細
患者は、胃癌OP後3週間目。腹腔内膿瘍のためドレーン挿入中ではあるが、発熱もなくバイタルサインも安定。ふらつきなし、食事は5分粥全量摂取出来ていた。点滴スタンドに輸液ポンプ設置し、1,500mLの中心静脈栄養実施中、転倒時の輸液は約1,200mLあり、患者は病棟からエレベーターで買い物に行こうとして単独で移動中、エレベーター内で転倒しているところを他の患者家族に発見された。看護師が駆け付けた時は既にエレベーターから降り、エレベーターホールの壁にもたれて立っていた。転倒時の状況を目撃した者はおらず、患者からの聞き取りではエレベーターの段差に点滴スタンドが引っ掛かったという事だった。点滴スタンドは曲がっていたが、患者は両前腕と両下腿に擦過傷を生じた。 エレベーターかご内部、ドアの内外、外枠等 施設設備の損傷はなかった。点滴スタンドの曲りがどのように生じたかの原因も状況も不明。
考えられる要因

・2016年設置後初めての転倒事例。エレベーター内のかごと外枠の段差・かごと外枠の間隙もほぼなく、施設設備上の大きな問題はなかった。
・一般乗用エレベーターのため、面会等で利用される方も同乗されるが、他患者の家族からの報告から、事故発生時、エレベーターの利用は患者1人だけではなかったかと予測され、他者の関与する要因もなかった。
・エレベーターホールには外光は入らないが、照明も明るく、空調設備も整っている屋内であり、環境的要因も考えにくい。
・点滴スタンドは6本脚で安定感のあるものだったが、持ち手の位置、輸液ポンプの設置の位置がやや上部に取り付けられ、点滴薬剤も重く、重心が高かった。
・輸液ポンプの設置位置や方向、その他の注意事項等について、点滴スタンドには説明文が取り付けられていたが、職員が添付文書の内容を熟知していなかった。特別な注意が必要である点滴スタンドだという認識がなかった。(トップIVスタンド タイプN))
・患者が単独で歩行時に注意する内容の指導も不足していた。

対策

・施設・環境に関する対策は特になし
・設備面での対策  点滴スタンド(トップIVスタンド タイプN)使用上のCHECK項目についての情報収集を行い、持ち手の高さと点滴ポンプの設置の高さ、輸液ポンプの設置方向、歩行時の点滴スタンドの進行方向等の注意事項について、看護師・看護助手・理学療法士へ周知した。
・その他の対策 単独で、点滴スタンドを引いて歩行する患者さんへ歩行時の注意点や、エレベーター乗降時の注意・説明を行う事、職員が患者の護送時にも一般乗用エレベーターを使用する事があったため、職員とともに移動する場合は、一般乗用エレベーターを使用せず、職員エリアのエレベーターを使用し、一般乗用エレベーターが混雑しない事と、安全確保できるよう注意喚起した。

2016年1月に新築稼働しているエレベーターの為、隙間・段差はほぼない。

スタンドは6本脚で安定性はあり、キャスターも可動性が良く軽く動きやすいものであった。

転倒により約45度曲がってしまった点滴スタンド

メーカーからの使用上の注意点はスタンドに付けられていたが、熟知されていなかった。 スタンドに設置する持ち手は手首の高さとし、進行方向・スタンドを持って歩く時の足の位置、輸液・シリンジポンプの設置位置について看護師、看護助手に再度周知を行った。

資料

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