公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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活動成果

物的環境に関連する事例集

【掲載日】2023年02月10日(金)

事例番号 835

物的環境に関連する事例集

【発生場所】
病室
【関連したもの】
【精神・意識障害の有無】
【発生内容の分類】
離院・徘徊
【主な原因】
A. 患者による使い方・置き方のリスク B. 物の性能のリスク C. 不適切な環境設定・維持管理不足によるリスク
発生内容

認知症患者が安全装置付きの窓から抜け出し、離院した

詳細
帰宅願望が強く、徘徊が続くため勤務室から見える個室に居た。入院17日目、昼間に一度、病院敷地内を荷物を持って歩いているところを職員により発見され病室へ戻った。この時は院内の防犯カメラに患者の姿が映っておらず、どのように抜け出たのか分からなかった。しかし、同日夕方、入院患者の家族から病院の屋根スペースを歩く患者が居ると当該病棟へ報告があり、窓の外を歩く患者を発見した。急いで患者のいる所へ迎えに向かったが、患者は非常階段へ向かい、段差のあるところから階段部分へ降りてしまったがそこで身柄を確保できた。患者が居たところは窓からでないと出られない所であったが、患者の部屋の窓は完全に閉まっていた。しかし、窓を開けて確認すると窓の外側の枠に足跡が残されていた。安全装置を壊し窓を開け、外に出てから窓をぴったり締めたであろう(再び安全装置が掛かる)状況が推測された。一度目の離院時にカメラに姿が映っていなかったのは2回目と同じ方法で抜け出たのではないかと推測された。
考えられる要因

病室の窓はすべてに安全装置が常設されている。当院はフルタイムで室温・湿度管理している為窓は開けなくても良いので、通常はストッパーは出さずに窓を閉めている。しかし、臭気がある場合にストッパー機能を働かせて、窓が10㎝程度開けられる様にして窓を開けている。今回はこのストッパーが戻されていなかった。業者に確認してもらうため安全装置を取り出して見たところ、内部は破損していた。安全装置自体はプラスチック製で強度はある程度あるが、防災法に準拠するため鉄の様な強度は持たせられないらしい。プラスチック製であることは誰が見てもわかる物であり、指で強く押し込むと多少しなやかさがあり無理に押し込むことが出来た。1回目の離院の後に担当看護師が、患者の部屋の中での行動を見ていたが、窓の部分をいじる姿はあったようだった。しかし、壊れることは予想ができなかった。

対策

窓の安全装置を交換した。他室の窓の装置も点検し、全ての病棟の職責者へ情報を共有した。

安全装置を外したもの

換気のためのストッパーを出して使用することが多い

ストッパー部分をかなり強く押している

安全装置の裏側。押されたことで内部が割れていた

資料

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