公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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活動成果

【掲載日】2004年05月31日(月)

中心静脈カテーテル挿入(CVC)に関する指針

【発信日】 2004年05月31日(月)
【部会名】 処置・チューブトラブル部会

指針

この指針の改定版を発信しています。
中心静脈カテーテル挿入・管理に関する指針(改定第3版 2020)(2020年04月24日)

 

1.目的

 中心静脈カテーテル挿入時に重篤な合併症が多く報告される状況を鑑み、財団法人日本医療機能評価機構認定病院患者安全推進協議会は、リスクを軽減し患者安全の推進を図ることを目的として中心静脈カテーテル挿入に関する指針を作成した。本指針では、主に内頸静脈あるいは鎖骨下静脈の穿刺を想定し、静脈切開によるカテーテル挿入には触れないこととする。

 

2.適応

 経口摂取や経腸栄養ができない、もしくは末梢静脈が確保できない場合を中心静脈カテーテル挿入の主な適応とする。中心静脈圧測定、透析用カテーテル留置も適応とする。

 

3.インフォームドコンセント(IC)

(1) 中心静脈カテーテル挿入を行う場合には、所定の用紙を用いて主治医がICを行うことが必要である。手術時に挿入する場合にも原則として主治医がICを行うこととする。ICにより受理した説明書は診療録に保存する。

(2) 緊急時にICを行うことなく挿入した場合は、事後に中心静脈カテーテル挿入の目的などを患者・家族に説明することが必要である。穿刺部位を変えて入れ替える場合にもICを行うことが必要である。

 

4.管理および教育体制

(1) 病院長は中心静脈カテーテル挿入に関する指導者として病院内にインストラクター(複数可)を任命する。インストラクターは、中心静脈カテーテル挿入に関する十分な経験があり、合併症を早期に診断し治療する能力がある医師とする。

(2) インストラクターは病院の中心静脈カテーテル挿入手順を作成するとともに、若手医師の教育について特に配慮する。

(3) インストラクターは、中心静脈カテーテル挿入に関する十分な経験のある医師を認定し、認定された医師は中心静脈カテーテル挿入を単独で行うことが可能である。認定の基準は各病院が定めることとする。

(4) 認定された医師以外が中心静脈カテーテル挿入を行う場合には、原則としてインストラクターの指導下に施行される必要がある。この場合、3回の試験穿刺と3回の穿刺までは認めることとする。

(5) インストラクターは、経験の浅い医師が中心静脈カテーテル挿入を行う前に、穿刺部位の解剖と起こりうる合併症を熟知させる必要がある。その際、穿刺訓練用のシミュレーター(人形)を使用する方法もある。また挿入前に3回以上の見学を必要とし、見学回数は「研修手帳」などに記載されていることとする。

(6) 病院は、中心静脈カテーテル挿入に関する合併症(気胸、血胸、感染など)の頻度を把握する必要がある。

 

5.中心静脈カテーテル挿入の環境整備

(1) 感染対策のために、穿刺は患者の状態が許す限り個室または処置室で行う。

(2) 空気塞栓を防ぐため、あるいは血管を拡張させるために頭低位またはトレンデレンブルグ体位ができるようなベッドあるいは処置台を整備する。

(3) 穿刺を容易にする目的で超音波装置あるいは透視装置を用いる場合がある。他に考慮するものに心電図モニター、酸素配管などがある。

 

6.穿刺時の感染予防

(1) 高度無菌バリアプリコーション(例:マスク、帽子、清潔手袋、ガウン、大きな敷布を使用)を用いて穿刺することが望ましい。

(2) 手袋を着用する前に手指は手洗いするか、またはアルコール消毒製剤を擦り込む。手指の目に見える汚れは水で洗う。

(3) 第1術者が穿刺できなかった際には、インストラクターまたは認定された医師も同上の手技で行うこととする。

(4) 術野はポピドンヨードまたはクロルヘキシジンアルコールで消毒する。

 

7.穿刺方法

(1)内頸静脈

 ① 穿刺時には頭低位あるいはバルサルバ手技を行う。

 ② エコーガイド下での内頸静脈穿刺が安全性と確実性で優れる。

(2)鎖骨下静脈

 ① 空気塞栓を避けるために頭低位が望ましい。

 ② X 線透視の使用はカテーテルの走行を確認できることから有用である。

(3)大腿静脈

 ① 大腿静脈は血栓形成や感染を起こす頻度が高いため、原則的に避ける。

 ② 大腿静脈にカテーテルを留置した際には、患者の状態が落ち着き次第、他の静脈からのアプローチに切り替える。

 

8.合併症

 早期合併症(穿刺翌日まで):動脈穿刺、血腫、気胸、血胸、カテーテル迷入など

 遅発性合併症(2日目以降):気胸、血胸、カテーテル位置異常、感染など

 その他:自己(事故)抜去

 

 ここでは動脈穿刺、カテーテル位置異常および血胸、自己抜去、両側気胸について述べる。

(1)動脈穿刺

 動脈を穿刺したときには直ちに穿刺針を抜去して圧迫する。静脈と動脈の判別が難しい時(特に貧血患者、低血圧患者、一酸化炭素中毒患者)では、血液ガス分析または圧の測定を行ってもよい。ダイレーターを動脈(特に鎖骨下動脈)に挿入してしまった場合は止血困難が予想され、血管外科などの応援の要請を考慮する。

(2) カテーテル位置異常および血胸

 穿刺後、カテーテルが静脈壁を穿破して血胸、水胸、あるいは心タンポナーデなどを起こすことが知られている。文献的には遅発性血胸の80% が7日以内に起きると言われているが、1年後に認められた事例もある。

(3) カテーテル自己抜去

 高齢者あるいは痴呆患者などで自己抜去を認めることがある。バイタルサインをチェックし、挿入部位を確認する。離断が疑われる、あるいは明確でない時にはX線をとることとする。抜去したカテーテルは証拠として必ず保全しておく。高カロリー輸液投与中には低血糖と脱水に留意する。

(4) 両側気胸

 著明な呼吸困難を来す。穿刺挿入不可時は、両側気胸の発生も念頭に置いて、気胸の可能性がないのを確認し反体側を穿刺する。

 

9.穿刺前後のチェック

(1)挿入前

 呼吸音、胸部X線、血算、薬歴、可能ならば出血傾向を評価する。

(2)挿入後

 直後に胸部X線でカテーテル先端が適切な位置にあること、気胸・血胸がないことを確認する。穿刺部の腫脹と出血に注意する。遅発性合併症としての血気胸などを常に念頭におき、臨床症状などによっては胸部X 線を迅速にとる。

資料

・中心静脈カテーテル挿入(CVC)に関する指針

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