【掲載日】2003年12月18日(木)
アンプル型高濃度カリウム製剤の病棟および外来在庫の廃止10%キシロカインの病棟および外来在庫の廃止
【発信日】 | 2003年12月18日(木) |
【部会名】 | 投薬(与薬)プロセス部会 |
提言
高濃度カリウム製剤および10%キシロカインの急速静注による死亡事故が繰り返し報告されています。その原因は事例により様々ですが、高濃度カリウム製剤をボトル内へ混注するという指示に対し、誤って急速静注したことで事故が起きた事例があります。また、10%キシロカインについては、2%キシロカインと間違えて急速静注してしまった事例があります。このような事例の背景には、医師の不確実な指示と看護師の知識不足が重なることで重大な事態を引き起こしていると考えられますが、このような薬剤の取り扱いに関する病院側の対応にも大いに検討の余地があると言わざるを得ません。当協議会の「投薬(与薬)プロセス部会」で行った調査では、協議会会員病院の約3分の2が、上記薬剤の取り扱いについて病院としての事故防止対策が不十分であるという結果となりました。
これらの事故を防止するために、(財)日本医療機能評価機構
認定病院患者安全推進協議会として以下の対策を緊急に提言します。
1.アンプル型高濃度カリウム製剤、10%キシロカインの病棟および外来在庫の廃止その場合は次のような対応についても検討が必要です。
(ア) 希釈は薬剤部で行う。
(イ) 単品で病棟へ搬送する場合は注意喚起のため、急速静注禁止カードや専用袋の利用などにより、明確な差別化を行う。
(ウ) 手術室などで在庫を特別に許可する場合においても、他の製剤と置き場所を変えるなど、在庫方式の差別化を図る。
(エ) 在庫させる病棟では、スタッフの薬剤に関する知識と運用に関する教育を徹底する。
2.希釈製剤の採用1%リドカイン200mlの製剤*1があり、これを利用することで10%キシロカインを希釈する必要がなくなります。
(*1:オリベスK)
3.フールプルーフを考慮した製剤の採用三方活栓に接続できないプレフィルドシリンジ型の塩化カリウム製剤*2があります。専用針を使用してボトル内へ混注します。
(*2:メディジェクトK:ハードキャップタイプ)
「2、3」を採用することで、アンプル型高濃度カリウム製剤と10%キシロカインを病院から排除することが可能と思われます。