公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会

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活動成果

【掲載日】2025年08月07日(木)

[開催報告]2025年度 第1回 検査・処置・手術安全セミナー(7/16)を開催しました

【開催日】 2025年07月16日(水)
【部会名】 検査・処置・手術安全部会

活動成果

2025年度第1回 検査・処置・手術安全セミナー
「インフォームド・コンセント(IC)から シェアード・デシジョン・
メイキング(SDM)へ
:何が変わるのか、どう対応すべきか」

 

 今年度第1回の検査・処置・手術安全セミナーは、2025年07月16日(水) 17:30~18:45に、テーマは「インフォームド・コンセント(IC)から シェアード・デシジョン・メイキング(SDM)へ :何が変わるのか、どう対応すべきか」としてオンラインシンポジウム形式(Zoomウェビナー利用)で開催しました。

 

 シェアード・デシジョン・メイキング(SDM)とは何でしょう。その英単語からは、決定を分け合うことなのかと想像がつきます。インフォームド・コンセント(IC)と同じ文脈で聞く言葉だと思われている方もいるでしょうか。私たちは日々の診療でICというプロセスを多用しています。膨大な書類を示しながら、病気に立ち向かう患者さんにとってこの方法が最善なのかと悩むことはないでしょうか。今回のセミナーでは部会として初めてSDMをテーマに取り上げました。この分野での研究や活動実績をお持ちの2人の先生からわかりやすくSDMという概念、考え方、実践方法などをお話いただきました。セミナー参加申込者425名のうち医師の割合が14%と他のセミナーに比べ高く、医師の関心が高いテーマであることが伺えました。協働と共同、SDMを表現する漢字が一つでないこともわかり、発展しつつある分野ですぐ実践につながる内容ばかりではありませんでしたが、概念の共有という目的は十分果たせたのではないかと思われました。

 

 教育講演①では「説明から協働へ:「お・ち・た・か」で始めるシェアード・ディシジョン・メイキング - インフォームド・コンセントからの転換を、実践的フレームワークで」という題名で聖路加国際大学大学院看護学研究科 看護情報学分野 教授 中山 和弘先生からご話いただきました。人は自ら意思決定することが幸せという大原則があり、日本人においても原則は当てはまるとのことでした。医療現場での実現手段としてのSDMは、重要な状況で合理的な意思決定を患者さんがするために「お・ち・た・か」を意識して進めることが重要です。「お」はオプションの頭文字、「ち」は長所、「た」は短所、「か」は価値観とのことです。選べるオプションが提示され、それぞれの長所・短所を理解し、自分にとって何が重要かをはっきりさせる価値観を自覚したうえで決める、すなわち患者が胸(腹・腑)におちたかを意識することが重要とのことで、大変わかりやすいキーワードを共有できました。また、海外でのエビデンス等も示していただき、SDMの国際基準IPDASに沿った意思決定ガイドが日本でも作成されつつあり、我々も利用できることもお伝えいただきました。

 

 教育講演②では「患者参加型医療と医療の質・安全 - インフォームド・コンセントの充実と共同意思決定(SDM)」として医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院 副院長 小松 康宏先生からご講演いただきました。EBMの歴史を改めて振り返り、その発展・実践の中でSDMの能力が求められることをお示しいただきました。手続き的、防御的なICを超えるには患者参加が重要となります。SDMとICは同義でも、対立するものでもないとして、様々な診療の中でインフォームド・コンセントの対象となるもの、SDMの対象となるもの、文書でのIC取得の対象外だがSDMの活用が求められるものがあることを明示していただきました。現在、診療報酬上でSDMが算定可能な分野である、慢性腎臓病に対する腎臓病SDM推進協会の取り組みもお示しいただきました。

 

 患者参加が重要であり、選択肢と価値観を重視するSDMが医療の在り方を変えるキーワードになることを、お二人の講演を通じて改めて理解できました。SDM的な考え方を日常診療に取り入れることと、SDMを医療システムに組み込むこと、どちらも重要ですが、忙しい医療現場に持続性をもって受け入れられる提案につなげていくことを今後部会としても検討したいと考えています。

 

 

 

 検査・処置・手術安全部会  部会員        安田 あゆ子          

 

(名古屋医療センター 外科・医療安全管理部 医療安全管理部長)


 

 

◆ 検査・処置・手術安全部会 部会員一覧

部会紹介 > 検査・処置・手術安全部会

 

 

◆ プログラム(敬称略)

■開会挨拶・検査・処置・手術安全部会の活動について

長谷川 隆一(部会長/獨協医科大学埼玉医療センター 集中治療科 学内教授)

 

■教育講演

座長:安田 あゆ子(部会員/名古屋医療センター 外科・医療安全管理部 医療安全管理部長)

 

教育講演①

説明から協働へ:「お・ち・た・か」で始めるシェアード・ディシジョン・メイキング - インフォームド・コンセントからの転換を、実践的フレームワークで

演者:中山 和弘(聖路加国際大学大学院看護学研究科 看護情報学分野 教授)

 

教育講演②

患者参加型医療と医療の質・安全-インフォームド・コンセントの充実と共同意思決定(SDM)

演者:小松 康宏(医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院 副院長)

 

■全体協議

座長:安田 あゆ子

進行:長谷川 隆一

 

■総括・閉会挨拶

長谷川 隆一

 

 

◆ アーカイブ配信

2025年8月7日(木)~2026年2月27日(金)まで、会員病院限定でアーカイブ配信をしています。

➡2025年度 第1回 検査・処置・手術安全セミナー(アーカイブ配信)

 

 

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